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7.182020
夫婦関係に悩む理由 〜夫婦喧嘩のウラ側にひそむ妖怪たち〜
あるお母さんは、いつも夫のことを
「大声を出す怖い人」
と思っていました。
夫に対して気を使い、いつも夫にビクビクしていました。
カウンセラーが夫に、なぜ「大声を出すのか」質問すると、
「妻といると、なぜだかイライラしてきて、いつの間にか大声を出している自分がいる」
というのです。
妻は、「夫は、暴力的だった父親のようです」と言って泣きます。
これだけ聞くと、妻は完全に「被害者」に見えます。
しかし、夫婦療法をやっているカウンセラーは、単純に夫を悪者にはしません。
ここには、「妻の暴力的だったお父さんという妖怪がひそんでいるかもしれない」
と考えるからです。
妻は、暴力的な父親と、無力な母親に育てられた生育歴がありました。
もし、「妻の暴力的なお父さん」という妖怪が、家の中をウロウロしていたとしたら、「被害者は夫」であり、「妻は、妖怪を連れてきた張本人」
という、全く逆の立場になります。
人は、結婚すると、実家の家族のパターンを新しい家族の中に無意識に持ち込んでしまいます。
暴力的なお父さんに育てられた妻は、無意識に夫を、暴力的な夫に仕立て上げます。夫は、それを無自覚に動かされて「暴力的な夫」を演じてしまうということが起こります。
このことをここでは、「妖怪に取り憑かれた夫」と呼び、「本来の夫」とは区別します。
妖怪は子育てに追い詰められて忙しい時や、仕事でどうしても切羽詰まっている時に限って取り憑いてきたりもします。
こういう時、夫と妻の二人では、この問題を解決することはほぼ不可能です。なぜなら、二人とも取り憑かれてしまっているからです。
この場合、次に巻き込まれるのは、優しくて敏感な子供です。
たとえ赤ちゃんであっても、その子が敏感な場合、夫婦の関係が悪いという空気を察して、ギャン泣きして「こんなお父さんお母さん嫌だ!!」と訴えかけるでしょう。
そしてお母さん(妻)は、その赤ちゃんを見て「この子は私に似て、いつもお父さんにおびえてビクビクしている…」
つまり、「暴力におびえてビクビクしている妖怪」が、今度は子供にも取り憑くということです。
お母さん(妻)の育った実家の家族のパターンは、新しい家族の中で、再び再現されるのです。
→ なぜこのような事が、起こるのでしょう。。。
せっかく嫌だった実家から離れて、新しい家族と幸せな結婚をしようと思っていたのに…。
こんな時カウンセラーは、古い家族が新しい家族の中に再び再現されることに、
「癒しの可能性」を見ます。
お母さん(妻)は、自分の子供をまるで「ビクビクしていた自分自身のようだ」という気づきを得てから、自分自身のカウンセリングをすることを決意します。
夫婦の問題を「夫が悪い」から、「自分(妻)の中の暴力的なお父さんと無力だったお母さん」との問題へとシフトしていくことができるようになりました。
妻は、我が子のために、「無力だった自分自身のお母さん」とは違う道を歩き出したのです。
自分の問題に勇気を持って向き合う彼女は、もう無力ではありません。
お母さん(妻)は、カウンセラーに、両親との確執や、トラウマを話すことで、「夫と父親との違い」について自覚して行きました。「父は、暴力を振るったが、夫は(よく見たら)大声で理屈を言っているだけだった」などです。
また夫も、妻の話を聞いて妻の実家のパターンを理解することで、自分たち家族にどんな妖怪が取り憑いているのかを見抜いて行動していくことができるようになってきました。
このことが、夫婦二人の会話を進めるきっかけになりました。
妻は、夫とカウンセラーの協力を得て、とうとう実家の両親に、言いたいことが言えるようになりました。
暴力的だった妻の父親も、若い夫がそばにいる自分の娘には、手が出せません。
妻の父親は、精神的に幼いだけの老いぼれた男性になりました。
夫と妻は、このことがきっかけで、自分達らしい家族が作れるようになりました。
赤ちゃんも、ギャン泣きすることがなくなってきました。
夫と妻は、お互いの育ってきた家族のパターンを引きずって、結婚をします。
それは、良いものもあれば、悪いものもあります。
しかし結婚することで、古い家族のパターンは死に、新しい家族の中で、新しくより良い家族のパターンが作られる、生まれるという可能性に開かれるのです。
このことを、家族のイニシエーション(古いものが死に、新しいものへと再生すること)と言います。
妊産婦心理カウンセリング室は、あなたとあなたの家族のイニシエーションを応援しましす。