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共依存の夫婦 〜「切断」の処方箋 〜

 

共依存の夫婦

赤ちゃんができると、夫婦関係に支障が出るカップルも少なくありません。

赤ちゃんができることで、「パートナーの関心が、自分より赤ちゃんに向くこと」に非常にストレスを感じる人がいます。

「パートナーを赤ちゃんに取られた」

「オレより(私より)赤ちゃんの方が大事なの??」

赤ちゃんにヤキモチを焼くなんて信じられないと思ってしまう事もあるかもしれませんが、この様なことになる原因の一つとして、今までの夫婦関係では、「男女の関係」というより、夫婦が例えば「お母さん妻と、赤ちゃん夫/お母さん夫と、赤ちゃん妻的関係」を築いてきた結果かもしれません。

この関係は、夫婦のどちらかが一方的に甘え、どちらかが一方的に世話をするという関係を作ってきた可能性があります。

こういう関係を、「共依存的カップル」と言います。

共依存カップルでは、赤ちゃんを育てていくことが難しくなります。

どうすれば、この様な関係を、健全な家族関係に持っていくことができるでしょうか。

一つのヒントは、

*共依存関係から、良質な依存関係への立て直しをする*

です。

良質な依存関係のためには・・・

 

境界線「心のディスタンス」を作る・・・どこからどこまでが、相手の自己責任でやるべきことで、どこまでが自分の責任の範囲かの境界線を引くこと、そもそも相手と自分との境目はどこかを意識することで、境界線ができてきます。

例えば、

「何も言わなくても、愛し合っていれば分かり合える」

「あなたはどうせこう思っている」

こう言う考えは、相手と「心のディスタンス」が取れていない人がしがちです。

相手と自分は違う人間だと言う認識がなくなってしまって、相手が自分の思い通りに動かないと嫌だったり、怒ったりします。

相手に聞いてもいないのに、相手のことを決めつけることは、相手と自分との境界線がありません。相手に対する思い込みもいっそう強くなりがちになっていきます。

「心のディスタンス」を作るには

「相手に聞いてみないと、相手が欲しいものはわからない」

「私はこう思ってるけど、あなたはどう思っているのかわからないから教えて」

と、水臭いこと・堅苦しい事をあえて聞いてみる習慣をつけると良いかもしれません。

こうすると相手との間に距離ができてくるため、相手と自分の思っている事は違うことがわかってきます。

最初は少し寂しいかもしれません。愛し合っていても、相手のことはわかってない自分に気づくからです。

当たり前ですが、「相手と自分は違う人間だ」と自覚することで、心のディスタンスが生まれます。

相手との距離を取る事で、相手をちゃんと見ることができます。

その事が、かえってお互いに思いやることのできる良質な依存関係に変わっていくのです。

 

境界線「心のディスタンス」が取れているカップルは、相手に「ありがとう」を伝えたり、「ごめんなさい」と言えるものです。

 

相手(自分)は、自分(相手)の一部ではないし、自分(相手)の思い通りに動かないといけない人でもないと知っているからこそ、感謝や謝罪が生まれます。

境界線が見えない、心のディスタンスが作れない、境界線を引くには勇気がいる、血が流れる、涙が流れる、寂しい、怖いなどの場合、第三者の人に相談してみるのも一つの手です。ふたりの世界に入り込んでいる事が、共依存関係の温床になっていることはよくある事です。一歩、外に出て、誰かに話してみても良いかもしれません。難しい場合は専門家に相談しましょう。

もう一つ、最後に厳しいことを書きます。

共依存の夫婦にとって、大事なことは

「切断すること」です。

「切断」とは、小さな境界線作りから、大きくは縁切りまで様々です。

「共依存夫婦」の中に隠れているモンスターがいるとすれば、それは「赤ちゃんみたいな夫(妻)」です。

世話をしてあげなくてはいられない夫(妻)、世話をしてもらって当然な妻(夫)の関係は、赤ちゃんとお母さんの関係です。

もし、あなたが世話をしてあげるお母さん役をやらされ続けて、燃え尽きそうになっているのなら、パートナーに赤ちゃんを辞めてもらうしかありません。大人になっても、赤ちゃんでい続ける、搾取する、モンスターパートナーへの処方箋は、厳しいようですが、私は「切断」だと思います。

今までやってあげていた事を「やらない」事、あえて突き放し、距離を取り、切っていく事で、赤ちゃんパートナーは最初怒ったり脅したりするかも知れません。または、弱々しいふり、悲しいふりで泣いて「あなたってひどい人ね」と巧妙に罪悪感を植えつけてくるかもしれません。

本性は、まるで駄々をこねる大きなモンスター赤ちゃんです。

あえてそれでも「切断」していく事、ここまでと「限界を示す」、本人が自分でできることは「やってあげない」ことで、モンスター赤ちゃんが、まれに成長することもあります。

普通の赤ちゃんであれば、「お母さんの限界を知る」事で「世界は自分中心に回っている」と言う自己中心性から抜け出せるのですが、

大人になってしまったモンスター赤ちゃんに「限界を示していく」ことは、容易にはいきません。

モンスター赤ちゃんに成長してもらうには、相手も自分も「心の死」を体験するしかない事があります。

「パートナーに死んで欲しい」と漏らす妻(夫)も少なくありませんが、これは本当に「死んで欲しい」のではなく「心」の次元で一度、相手に「死んで欲しい」のではないかと思います。

モンスター赤ちゃんは死んで、大人の夫(妻)として生まれ変わって欲しいと言う意味だと解釈しています。

もしも、パートナーに大人として生まれ変わって欲しいなら、相当腰を据えた覚悟が必要になります。

まずはモンスター赤ちゃんを「切断」し、メタファーとして「死んで」もらい、また大人として生まれ変わるのを応援するしかありません。

結婚という縛りの中で、これをやり遂げられる事もあります。

こちらがまっすぐ向き合って、戦っても無理な時もあります。モンスターはモンスターのまま。その時は、最後の「切断」である、縁切りをする事で、相手が成長する事もあります。例え相手は成長しなくても、「切断」をすることは、母親役ばかりやってきたあなたの成長にはなるかも知れません。心の次元で「殺す」「殺される」ことで、人は大きく変わることができます。

逆に言えば、そこまでやらないと、人は変わらない事が多いという事です。

これを古くは「イニシエーション」と言いました。

「子供として一度死に、大人として再び生まれ変わる」

という意味です。

妊産婦心理カウンセリング室は、あなたとあなたの家族のイニシエーションを応援します。

 

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